GIAでは2024年12月15日以降の提出分よりエメラルドの充填物質(フィラー)の鑑別も行っていただけるようななりました。
GIAによると20年ほど前にもエメラルドに含まれる充填剤の鑑別を行なっていたようでしたが、充填剤の程度の評価に重点を置くサービスとなり無くしたそうですが、これはレポート取得後に充填剤を取り除いたり、変更したりできてしまうという認識でもあったそうです。
一般的にエメラルドは生まれる過程で塑性変形が起こりやすい地域で生まれるので、亀裂の多い宝石であり、そのため、透明度の改善を目的として無色、または有色のオイルによる含浸処理が古代より行われていました。
人工樹脂は様々なタイプが存在し、これらの樹脂は一般的に硬化するので耐久性が高く長持ちしますが、宝石としての価値は下がります。(含浸していない状態で亀裂が非常に多い=割れやすい)
色の改善を目的としたものには人工樹脂を使用している場合もありますが、エメラルドの価格の評価は下がります。
何も充填物質がない場合はいわゆる”ノンオイル”と呼ばれるものであり、非常に希少です。
エメラルドの評価で大事な部分であり、消費者に正確にお伝えしなくてはいけない部分ではあります。
この充填剤の鑑別は天然のエメラルドでルースでの提出のみの対応。
鑑別結果としては下記の4種類に分類されるようです。

表記意味
Type A (may include oil, wax, and/or natural resin) オイルワックスまたは天然樹脂
Type B (Artificial resin)人工樹脂
Mixed Filler : Artificial Resin and additional materials人工樹脂と他の材料
The clarity enhancing material present cannot currently be identified.充填剤鑑別不可
結果のコメント内容の種類と意味

(Mixed Fillerの”他の材料”はオイルワックスまたは天然樹脂)
通常のいわゆる宝飾品としてのジュエリーに使用されるエメラルドとしては”TypeA”のオイルワックスまたは天然樹脂の使用となります。
これはもともとのエメラルドに亀裂が少なく少しのオイル処理で美しさが引き出されるというような認識です。実際に弊社でもすでに取得していたエメラルドを再提出してアップデートで出してみました。
結果としてはType A、通常評価の高い石ですとこの結果になると思われます。

現在(2025年1月)の段階ですと、提出の際にこのコメントを入れるか入れないかは選択できて、入れる場合でも無料で充填物質を調べていただけます。
なお、調べた後にやはり記載したくない場合は取消せることもできますが、少し費用がかかります。
GIAでは今の所追加料金なしで調べていただけるとのことでした。
一般の消費者の立場からすれば購入を検討しているエメラルドの充填物質を正確に知ることは大事な指標の一つとされるべきなのかとは思います。

ジャーナル